36.7℃

2005年12月12日
風邪っぴきの発熱嬢ちゃんは、解熱剤という味方を得て、
一時的に痛みから身体を解放してもらう代わりに、
ベッドで孤独と向き合う羽目になったのでした。
   
外は雪やみぞれ。
全くおあつらえ向きの天気です。
   
時々不吉に渦を巻く胸や、
きしりきしりと鈍い痛みを訴える左顎から左目奥を除けば
彼女はいたって元気。
   
でもそういう時でさえ、
携帯電話という道具はあまりにも実直で、
チリンとも音をたてないのです。
   
こちらから声をかける当てをいくつか思い浮かべてから、
でも彼女はそれをしません。
それをしたところで、
望む言葉なんてどこにもないことはもう知っていましたし、
なにより、
その時にはもう孤独ととことん向き合うことに決めていたのでした。
   
決めてしまえば、孤独なベッドも今や身軽で居心地のいいベッドです。
これだからもう!
と彼女の2人の妹がいたなら、顔を見合わせたかもしれませんが、
もうここは妹たちの声ですら届かない場所です。
   
孤独と向き合うに当たって手始めに彼女がしたことは、
目を閉じて眠ることでした。
孤独ととことん向き合うには、
カーテンの向こうが明るすぎたからです。
    
彼女は冷たくてまだ小さい孤独の塊を、胸に寄せて眠ります。
まだ小さいその塊は、彼女の身体を徐々に冷やし、
悲しい思い出や予感ばかりを引きずり出し始めています。
   
窓にはさっきよりも激しくみぞれが当たりバチバチと砕け、
時には雷が光と音で威嚇していました。
   
   
   

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索